テカナリエレポート。 分解分析

任天堂スーファミミニの分解でわかった「ムーアの法則」と製品寿命の関係

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テカナリエは、発売当日に上記の製品を入手して分解およびチップ開封を行った。 AppleやSamsung Electronicsの製品は、毎年発売と同時に入手して分解を行っている。 2017年は発売日午前8時に製品を入手し、その後移動、9時に事務所にて分解、10時には基板から「A11」プロセッサチップを取り外し、午後一番にはチップ開封を完了させることができた。 2017年秋のApple製品に関しては詳細なレポート *)を既に作成し発行中である。 *)テカナリエレポート136号:iPhone8分解、137号:Apple Watch3分解、139号:A11、MDM9655チップ解析、140号:Watch3 S3全チップ解析、145号:Apple TV 4K解析 図1は、iPhone8 Plusの外観およびメイン基板の様子である。 基板の形状、大きさはおおむね、2016年に発売された「iPhone 7」と同じであった。 一部の報道ではiPhone 7とiPhone 8には大きな差がないとあるが、チップ面では大きな変更が多かった。 メインプロセッサは「A10」から「A11」に変更されている。 前者は16nmプロセスを採用したものだが、後者は10nmプロセスが採用されていて、周波数は7%向上し、電源電圧が7%削減、集積密度は実に86%もアップしている。 図1:「iPhone 8」の外観(クリックで拡大) 出典:テカナリエレポート プロセッサだけでなく、電源ICやオーディオチップ、非接触型決済サービス「Apple Pay」向けチップなども、ほぼ全てが新しいチップに置き換わっている。 キープコンセプトではあるが、各チップの1つ1つがブラッシュアップされたものになっているのだ。 「iPhone X」発売前(2017年11月3日に発売)なので、iPhone Xの詳細は不明だが、現時点ではほぼ同じチップセットが基幹機能で使われるものと推測している。 図2に、iPhone 8のメインプロセッサA11とLTE Cat. 両プロセッサは、1つのパッケージに2つ以上のチップを収納するSIP(Silicon in Package)が採用されている。 A11プロセッサは、LPDDR4メモリが4枚とプロセッサ、特性調整用の小シリコンが10個、パッケージ補強用のプレートが2枚入っており、1つのパッケージに17個もの部品が入っている。

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スマホの頭脳を押さえた 2016年2月、Huawei社はスマホの新製品「P8」が1600万台売れたと発表しました。 1カ月に300万~400万台売れているのではないかという台数です。 この製品のキーポイントは、スマホを動かすための頭脳の部分を全て、HiSilicon社が1社でチップセットという形にして用意したことです。 プロセッサー「Kirin 935」を中核として、無線通信用トランシーバーICや電源管理ICなどを組み合わせたチップセットです。 センサーやWi-Fi関連、タッチセンサー関連、GNSS、GPSなどは、汎用的なチップを買ってきて使えばいい。 そう考えて、アプリの動作や通信の機能などに注力し、そのプロトコルやソフトウエアをパッケージングしたものをプラットフォーム化して、Huawei社に供給する。 骨格は全て自社で取りそろえる。 これが中国の戦略です。 チップセットで提供してくれると、使う側も使いやすいのです。 完全な設計図まで付いてきます。 簡単にスマホができあがってしまいます。 スマホメーカーは、あえて分かりやすく言えば、外観のデザインだけを考えていればいいのです。 中身のことは考えなくていい。 Qualcomm社やHiSilicon社からチップセットを買ってきて、他に必要な部品を並べれば誰でもスマホがつくれるのです。 中国には「豆腐店でもスマホはつくれる」という言葉がありますが、本当に豆腐店がスマホをつくろうとしたほどです。 だから、Huawei社やHiSilicon社を含めて、中国のスマホ関連メーカーがあっという間に世界のトップレベルに躍進してきたのです。 中国は、こうした事業モデルをつくってきたわけです。 このチップセット戦略は、中国をはじめ、世界中で主流になっています。 対照的なのが日本です。 アプリケーションプロセッサーはA社、電源ICはB社、トランシーバーはC社という具合に、ばらばらです。 Huawei社のようにプラットフォームを構築できた例は1つもありません。 2009年に「K3」、2012年に「K3V2」を発表して私たちの前に現れたHiSilicon社が、わずか6年であっという間にスマホ用プロセッサーで世界のトップメーカーになってしまった。 これがクルマやロボティクスで起こる可能性は十分にあり得ます。 こうしたことが、今後はどんどん起こり得ることを、HiSilicon社の事例から読み取っていく必要があります。 (次回へ続く).

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IoTはARM一辺倒にあらず、「RISC

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日立製作所におけるPalo Alto Research CenterとのAIプロセッサー開発やSHマイコンの開発などを経て2013年にSHコンサルティングを設立し、現職。 (写真:加藤 康) 河崎氏:我々SHコンサルティング(SHC)は、新しいオープン命令セット「RISC-V」(リスクファイブ)を実装したCPUコアを搭載する、モーター制御用の64ビットマイコンを作ろうとしています。 狙うのは、ロボティクスや自動車分野です。 いずれも、IoT時代に大きな成長を見込める市場です。 ロボットや自動車には多数のモーターが搭載されており、出荷数量も増加傾向です。 加えて、今後はさらにインテリジェントなモーター制御が求められるようになる。 こうした制御には、64ビットマイコンが必要になるでしょう。 マイコンのようなチップの提供だけでなく、CPUコアのIPのライセンスも考えています。 清水氏:これまでの約10年間、半導体市場のけん引役はモバイル機器でした。 モバイル機器が主導した時代は、あらゆる構成部材が標準化され、コモディティー化が進みました。 今後は、IoTがけん引役になり、RISC-Vに準拠したCPUコアのような新しい技術を採用した半導体が求められる、コンピューティング主体の時代になると考えています。 河崎氏:RISC-Vの仕様策定団体である「RISC-V Foundation」には、米Google社や米Hewlett Packard Enterprise社、米IBM社、米Microsoft社、米NVIDIA社、米Oracle社といった米国の半導体・IT分野の大手企業だけでなく、さまざまな企業が参画しており、RISC-Vの活動は「大きなうねり」になっています。 IoT時代では、組み込み機器が主役です。 時代の要求に合致するのがRISC-V準拠のCPUコアだと考えています。 ARMコア並みに省電力なことに加えて、RISC-Vがオープンな無償で使える命令セットだからです。 これにより、組み込み機器用のマイコンやICなどを安価に実現できます。 例えば、私の見積もりでは、「ARM Cortex-M0」の約50倍に相当する、毎秒4Gオペレーションを超える演算処理性能のCPUコアを採用するモーター制御用64ビットマイコンの製造原価を、2020年までに30円以下にできるとみています。 組み込み機器の構成部材はある程度標準化できますが、用途ごとに頻繁にカスタマイズされます。 CPUコアも同じです。 ARMコアを利用した場合、標準仕様の命令セットだけでなく、用途ごとにさまざまな拡張仕様の命令セットも使う必要があります。 拡張仕様を利用すると、場合によってはARMコアとはいえ、ライセンス料は高価になります。 拡張仕様の選択作業も煩雑です。 その点、RISC-Vの枠組みを使えば、こうした不便な点を回避できると判断しました。 この記事は有料会員限定です。 次ページでログインまたはお申し込みください。

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