情緒 不安 定性 パーソナリティ 障害。 こころの“病名”を知る|医療法人社団双和会 志津クリニック

情緒不安定性パーソナリティ(人格)障害の診断基準とは

情緒 不安 定性 パーソナリティ 障害

境界性パーソナリティ障害とは 世界保健機構の精神疾患の診断基準では、「その人の属する文化から期待されるものより著しく偏った内的体験および行動の持続的パターンであり、ほかの精神障害に由来しないもの…」と定義しています。 境界性の意味は? 境界性パーソナリティ障害では、神経症の症状があらわれてきます。 ところが、 本来の神経症の患者さんが抱える不安は限局していまが、境界性パーソナリティ障害の場合、常時不安感に苛まれています。 一方で、一過性の精神病症状もあらわれます。 また、強いストレスのもとでは、 解離 自分が自分であるという感覚が失われる や妄想があらわれることもあります。 しかし、いずれも一過性ですから、精神疾患とも言いづらいです。 このように二つの疾患のはざまに発現するということで、「境界性」という名前が付けられましたが、現在では、独立した疾患として位置付けられています。 パーソナリティ障害の定義 パーソナリティ障害は、 ものの捉え方や考え方が偏り、感情や衝動のコントロールがうまく出来なく、結果として人との付き合い方に支障がでる障害です。 具体的には、会社や団体などの社会集団が持つマナー、常識、暗黙の規範に大きくはずれた言動が見られる障害です。 以前は「人格障害」とも呼ばれていました。 しかし、この病名では、性格の悪さが原因のような誤解を与えかねないところから、最近では「境界性パーソナリティ障害」と呼ばれるようになりました。 性格の良し悪しではなく、病気のせいで性格の悪い人のような言動に至ることがあるのです。 そして、当人もそのことで深く悩んでいるということを理解しておく必要があります。 パーソナリティ障害の分類 パーソナリティ障害は、大きく3つのタイプに分けられています。 境界性パーソナリティ障害は、下記の表のB群に含まれます。 B群は「ドラマチック・タイプ」とも呼ばれます。 感情的かつ衝動的なのが特徴で、周囲を巻き込んで迷惑をかけることが多いタイプです。 パーソナリティ障害の分類 境界性パーソナリティの特徴 親から自立する時期(1~3歳)に安定した愛情や関心をもらえなかったために 認知 モノの捉え方や考え方 に歪みが生じ、成長しても認知の歪みによって、対人関係がうまく築けません。 また、 見捨てられる不安が根底にあって、感情が不安定で、情動をコントロールできないため、問題行動を起こし、社会生活に支障をきたすというのが境界性パーソナリティ障害の特徴です。 以下、境界性パーソナリティ障害の特徴を列記してみましょう。 二分法的認知 これは、 物事を白か黒かといった極端な認知をしてしまい、そのことを言い募ることをさしています。 自分の主張に賛成してくれる人は、「いい人」ですが、自分の主張に沿わない人に対しては、ためらうことなく「最低の人」と断定し、妥協の余地を与えません。 これでは、人間関係うまくいくはずもありません。 不安定な感情 いつも情動のコントロールができない不安定な感情に支配されています。 また、些細なことにも敏感に反応します。 なぜ、情動を制御できないかといえば、一つには、 沸き起こる感情が本人も制御できないくらいに強いということがあります。 一つには、 過去に受けたトラウマの影響で、些細な出来事でも過去の体験と結びつき過敏に反応してしまいます。 自己イメージの混乱 境界性パーソナリティ障害がある人は、自分のイメージが曖昧ではっきりしない状態にあります。 そのために、 他人の影響を受けやすく、自分に対する一面的な評価を全人格に対する評価のように受け取ります。 それが、プラスの評価の場合は、相手の人をいい人と思いますが、マイナス評価をされると全人格を否定されたように落ち込み、相手に激しい敵意と怒りを感じます。 この過剰な反応に、周りの人はうんざりして敬遠しがちになるため、集団の中で孤立していきます。 親に対するわだかまり 親に対する強いわだかまりがある一方で、親を求める気持ちが同居しています。 親に対して否定と肯定の気持ちが同居しているわけです。 そうして、否定の気持ちがあることに罪悪感を抱いてもいますから、普通の人とは一味違う複雑な感情を抱いています。 また、先に述べた二分法的な極端な認知のもとにありますから、等身大の親の姿をとらえられないまま、ある時はこきおろし、ある時は過度に理想化してしまいます。 自己破壊的行動 境界性パーソナリティ障害の人が抱く不安の核心にあるのは、 見捨てられることに対する不安です。 これに、自己否定の感情や二分法的認知の歪みが重なって、極端に自分の価値を低く捉えるようになります。 その結果、 自傷行為や自殺など自暴自棄的な行動に走るケースも見られます。 精神疾患に似た症状 精神病と神経症の境界という状態ということもあり、 境界性パーソナリティ障害の中には幻覚、妄想、解離症状など精神病に似た症状が見られるケースがあります。 しかし、それ以外でも、境界を越えてうつ病やアルコール依存症、過食症、拒食症などの精神病の領域に移行する傾向があります。 境界性パーソナリティ障害の診断の基準 境界性パーソナリティ障害は、診断の難しい病気だとされています。 以下に示すのは、大まかな診断基準で、5つ以上該当するケースでは、境界性パーソナリティ障害の可能性が高いとされています。 1 見捨てられる不安:見捨てられることを避けようとするなりふり構わず行動する。 2 不適切な怒り:激しい怒りをコントロールすることができずに周囲にぶつけてしまう。 3 感情が不安定:不安やいらだちなど、情緒が短時間で変わりやすく不安定。 4 2つ以上の衝動的な行動が見られる:浪費、性行為、アルコール、その他の薬物乱用、無謀運転、無茶食いなどの2つ以上の衝動的な行為。 5 極端で不安定な人間関係:理想化とこき下ろしといった不安定な人間関係。 6 自殺企図や自傷行為などを行い周囲を脅すような自己破壊的な行動。 7 自己同一性障害:自分に対する確固たるイメージの欠落。 8 慢性的な空虚感:生きている実感がなく、虚しいといった気分に支配されている。 9 妄想的な思い込みや解離症状:ストレスによって生じる妄想的な思い込みや重い解離症状。 参考: 境界性パーソナリティ障害の原因と治療 境界性パーソナリティ障害は、なかなか治りにくいとされていましたが、 効果の高い治療法が開発され、年齢とともに徐々に軽快することが明らかになってきています。 境界性パーソナリティ障害の原因 境界性パーソナリティ障害の原因は完全に解明されたわけではありませんが、 最近の研究では、衝動的な行動パターンは、中枢神経系を制御する神経伝達物質・セロトニンが関係していて、神経系の機能低下によるものだと考えられています。 遺伝との関係でわかっていることは、情緒が不安定で気分がコロコロ変わるような親の性質が子どもに遺伝しやすいのではないかということですが、 一般的には遺伝的要因は少ないとされています。 こうした生物学的要因のほかに 養育環境、家庭環境、ストレスの多い社会環境、いじめや虐待によるトラウマなどの環境が、境界性パーソナリティ障害の発症に深くかかわっていることが明らかになってきています。 このように幼児期の養育環境や生育環境の影響は無視できませんが、特に注目されているのは、 「不認証環境」が境界性パーソナリティ障害の素地を作るということです。 不認証環境とは、 親から常に否定的な扱いを受けるという環境です。 あるがままの自分が認められず、親のルールに従うことを強いられた環境で育つと、いつも親の目を気にし、基本的な安心感が育ちません。 その結果、常に不安に付きまとわれた境界性パーソナリティ障害の素地を作ってしまいます。 認知行動療法による治療 パーソナリティ障害の治療は長期にわたりますが、 重要なのは患者と治療者(医師・カウンセラー)の協力と信頼関係です。 治療の現場では、どんなことが問題になっているのかということや、その対策について一緒に検討していきます。 治療の柱となるのは、 支持的精神療法、認知行動療法、精神分析的精神療法などの精神療法(orカウンセリング)です。 治療をとおして認知の歪みを直していきます。 薬物療法 薬物療法もおこなわれますが、薬物療法では、 感情調整薬や選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)や少量の抗精神病薬が使用されます。 なお、境界性パーソナリティ障害に対して保険適応の薬剤はありません。 薬物は主に付随する症状の緩和のために使われています。 接し方のポイント1:距離をおいて冷静に見つめる 境界性パーソナリティ障害の患者さんの感情は「ジェットコースター」のように激しく表現されます。 そして、家族も一緒に乗せられてしまって大変な思いをするというのが特徴です。 なぜ、それほどまでに激しい言動をおこすのか、少し距離をおいて冷静に見つめることが重要です。 彼らを変えようとするのではなく、まずは受け入れ、理解し、感情的に否定せず、冷静に対処するということが求められます。 接し方のポイント2:専門家の支援 受け入れるものの、本人にも責任があるという姿勢を貫くことも忘れないようにしましょう。 家族の養育環境に問題があったとも、家族や周囲の人が責任を感じすぎてしまうと、本人は自分の問題の責任を家族に押しつけてしまいがちになります。 「それはあなたの問題です」と一線を引く姿勢を崩さないようにしましょう。 また、家族で抱えこまずに専門家に相談し支援を受けたりすることもお勧めします。 境界性パーソナリティ障害は治る 正確な疫学的統計はありませんが、患者数は人口の1、2%くらいではないかと推測されています。 この数値は、境界性パーソナリティ障害が、稀な障害ではないことを物語るものです。 かつては、治りにくいとされていましたが、治療法の進歩で時間はかかるものの、治る病気であることも明らかになってきています。 境界性パーソナリティ障害の患者は、 1年後には約6割が、6年後に診断すると約7割が診断基準を満たさなくなっているというデータもあります。 早期に支援の窓口に相談し、専門の医療機関で治療に取り組むようにしてください。

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こころの“病名”を知る|医療法人社団双和会 志津クリニック

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『エキスパートナース』2014年10月号<精神症状への対応>より抜粋。 一般病棟でもよく出会う精神疾患のひとつ、 パーソナリティ障害について、基礎知識と現れやすい症状への対応をまとめました。 『』で解説した基本的なかかわり方を、実際に現場で、どのような言葉かけで生かしていけばいいのかを紹介します。 可知記念病院精神科 〈目次〉• 悲しみや不安を、リストカットや行きずりの性交渉や薬物依存などで表します。 看護で困る代表格の境界性パーソナリティ障害(borderline personality disorder、BPD)の患者さんは、感覚が繊細な人たちで、 他人の何気ない発言や行動を深読みして対人関係に難をきたします。 わかってくれる人を探し求め、すがって傷ついて……の繰り返し。 結果的に医療者を振り回すことになります。 ただ、パーソナリティ障害という診断をつけることは、慎重にすべきであるのは言うに及びません。 パーソナリティ障害の薬剤治療の進み方 薬剤治療は難しいですが、抗うつ薬(特にSSRIやSNRI)やベンゾジアゼピン系は、衝動性を増すため推奨されません。 気分安定薬と 少量の抗精神病薬が用いられます。 メモ*1SNRI serotonin-noradrenaline reuptake inhibitor、・ノル再取り込み阻害薬。 ちょっとしたことで感情が定まらなくなるのだという認識をもち、変化があっても、こちらが 「どうしよう!」とあわてふためかないことが第一歩。 パーソナリティ障害の対応のポイント 後述しますが、不安定な患者さんに対しては、 医療者が安定した態度で接するのが大原則です。 また、BPDの患者さんの特徴を知らないと、治療チーム内でケンカが勃発しバラバラになってしまいます。 方針を統一するためにも こまめなカンファレンスが必要でしょう。 こんなとき、ナースに何ができる?:自傷などの行動化があったとき 行動化のプラス面も認めたうえでかかわる 行動化には よい面もあります。 虚しさを和らげるとか、より強い行動化になるのを食い止める(親を殴る代わりに壁に穴を開ける、など)といったプラスの意味に注目を。 しかし、現実には自身を傷つけて、 長期的に見るともっと深い無力感に襲われるなどがあります。 道徳的や感情的に行動化のことを言うのはよろしくありません。 図1境界性パーソナリティ障害(BPD)で見られる悪循環 そして「 私はあなたに、しないでほしいと思っています。 入院環境はループから出るきっかけになると思います」と率直に伝えましょう。 言葉で限界設定を行うのです。 メモ*2限界設定(リミットセッティング) 「ここまではよい」「ここからはダメ」という枠を決めること。 こちらでカチッと枠を決めることで安定化を促す方法で、医療チームの方針をブレなくする役割ももつ。 ナースの皆さんは行動化に遭遇したとき、行動するに至った感情を「どんな気持ちだったんだろう」と聞いてみましょう。 そして、その感情はどんなものであれ認証します。 行動には「先生の言葉を忘れないでね」「身体を大事にしてほしい」などと伝えてみます。 行動化は複数回なされるでしょうが 「またやったの!? 」「何度も言ったでしょ!? 」という言葉は禁忌です(ぐっとがまん)。 1回1回を、初回と同じように接しましょう。 精神科以外の一般病棟は開放病棟ですから、限界設定は言葉で行うしかありません。 精神科に相談しながら、場合によっては患者さん自身の代わりに閉鎖病棟の壁にコントロールしてもらわねばならないときもあります。 ここが大切!• 「また!? 」という言葉や態度はです。 数時間でコロコロ変わることもまれではありません。 みんな振り回されてしまい、医療チーム内にも亀裂が入ります。 好意的な態度を寄せられると悪い気はしませんし「何とかしてあげたい」と思わせますが、特別扱いはダメです。 また、ちょっとしたことで被害的になりいきなり攻撃的になることも多く、医療者は混乱します。 しかしそれに対しても、変わらない態度で接すること。 つられてしまうと火に油を注いでしまうので、理想化に対しても価値下げに対しても、 一定で変わらない医療者というのをキープします。 患者さんと話をする 場所も固定しておいたほうがいいです。 患者さんは不安定な人生を送ってきていますから、話す場所や医療者の態度を安定させることが重要になってきます。

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情緒不安定性などのパーソナリティ障害

情緒 不安 定性 パーソナリティ 障害

被害者意識と疑心暗鬼で対人関係を壊す 見捨てられる前に先に縁を切ろうとする疑心暗鬼の塊となります。 その結果、友達は減り、どんどん孤独になります。 このパーソナリティ障害の人は、「見捨てられ不安」が過剰にあり「自己重要感」が低いのです。 そのため、わずかな言葉の行き違いから、相手の中に悪意を見出し、自分を責めている、攻撃していると受け取ることが特徴的です。 猜疑心から、相手を攻撃しますので、相手もそれに返す言葉が出てきます。 すると、他人の言葉にすぐに傷つき、いっそう自分の安定が損なわれます。 するとますます、行動や言動が極端になり、破壊的な行動をしてしまうのです。 低すぎる自己価値と見捨てられ不安にふりまわされる すべては自分への自信がないためにおこっており、それは幼児期の生育環境、両親との関係に背景があります。 しかし、このタイプの人も対人関係は、「出したものが返ってくる」ことを悟ると、心の安定性を回復し、治っていくのです。 自分の心に何を浮かべるか、それがすべてです。 そこに気がつくと変われます。 情緒不安定性パーソナリティ障害ではない人でも、もちろん同じ原則が働いているのです。 自分の中に安定感を構築することは、未熟な人格を育てて成熟へ導きます。 自分の幸せや喜びを生み出せるのは自分です。 決して他者によって幸せになるものではないのです。 同様に自分の不幸と苦しみを生み出すのは自分です。 決して他者によって苦しむのではなく、被害者でも加害者でもないのです。 心の安全基地となる援助者の存在が治癒促進のカギ 未熟な状態にある人格を成熟させるためには、その手助けをしてくれる心の安全基地となってくれる援助者がいることが理想的です。 どんな時も安定したかかわり方で、見捨てることなく、見守ってくれる人なら、心の安全基地としての役割を担うことができます。 親や配偶者がそういった心の安全基地になってくれる環境があれば、情緒不安定性パーソナリティ障害の人は時間がかかっても、次第に心の安定性を身に着けていくことができるのです。 心の安全基地の役割を果たせる心理療法家やカウンセラーと出会える場合は治療は成功し、幸せな人生を構築できるまでに成長できることも多いのです。 あわせて読みたい関連記事:•

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